テールアルメ工法(Terre Armée):
概要: プレキャストコンクリートパネルと亜鉛めっき補強ストリップ(鋼製帯鋼)を摩擦力によって土中に定着させる、世界および日本で最も歴史のある補強土壁工法。
特徴: 高い剛性と実績を誇るが、鋼材腐食への配慮や良質砂質土(盛土材の選定基準が厳しい)が求められる。
RRR工法(Reinforced Railroad with Rigid Facing):
概要: 鉄道総合技術研究所(JR総研)等で開発された、ジオテキスタイル(ポリエステル/ビニロン系格子等)と無筋コンクリート壁面工(現場打ち)を剛結した工法。
特徴: 鉄道盛土の耐震性向上・急勾配化を目的に開発され、剛性の高い壁面と良好な耐震変形性能を持つが、施工ステップ(仮壁面設置+現場打ち)が多段階になる。
HDPE一軸延伸ジオグリッド補強土壁工法(当工法):
概要: 高純度バージンHDPEを一体成形・一軸加熱延伸した高強度グリッドを用い、各種壁面材(ブロック・L型枠・緑化ラップ等)と組み合わせて盛土を補強する工法。
特徴: 土粒子との強固なインターロッキング、高い耐腐食性、現地発生土の適用性の高さ、トータルコストの低減が強み。
| 評価項目 | テールアルメ工法(鋼製ストリップ) | RRR工法(ジオテキスタイル+現場打ち壁) | HDPE一軸延伸ジオグリッド工法 |
| 補強材材質 | 亜鉛めっき鋼製帯鋼(平鋼) | ポリエステル / ビニロン系グリッド・織布 | 高密度ポリエチレン(バージンHDPE) |
| 接合構造 | 鋼板帯鋼(一体成形) | 高分子繊維格子(編織・樹脂被覆・熱融着) | 打ち抜き・延伸による完全一体成形(無接合) |
| 摩擦・補強機構 | 鋼材表面と土の「表面摩擦抵抗」 | 格子の受圧・摩擦抵抗 | グリッド格子開口部への「インターロッキング(噛み合わせ)」 |
| 適用盛土材 | 厳格な規定あり(良質砂質土・シルト分制限・腐食防止のため電気比抵抗等の規定) | 適用範囲広め(粘性土・礫質土も条件付き可) | 適用範囲が極めて広い(現地発生土・礫混じり土・粘性土の再利用が容易) |
| 耐腐食・耐薬品性 | 酸性土壌・塩害・海岸部・温泉地で腐食対策が必要(電気化学的腐食リスク) | 耐水性は高いが、高アルカリ環境や加水分解に配慮が必要 | 耐薬品性・耐腐食性に極めて優れる(pH 2〜13、塩害地域・産業残土でも劣化なし) |
| 壁面タイプ | プレキャスト十字型パネル等 | 現場打ちコンクリート壁(自立型剛壁面) | コンクリートブロック、プレキャストパネル、緑化ラップ壁面など自由度が高い |
| 耐震性 | 良好(実績多数だが、極大地震時の帯鋼破断や引き抜け照査が重要) | 極めて高い(鉄道基準での耐震設計・実績多数) | 極めて高い(盛土全体のじん性向上、地震動エネルギーの柔軟な分散) |
| 施工性・工期 | 重機施工、熟練工を要する | 仮設枠+盛土転圧+現場打ち壁面の多工程 | 敷設・転圧がシンプル、工程短縮が可能 |
| 経済性(コスト) | 材料費・良質盛土材購入費で比較的高価 | 現場打ち壁面工の型枠・打設費用が発生 | 材料コスト・現地土再利用による残土処分費削減でトータルコスト優位(約15〜30%縮減) |
従来工法の課題: 鋼製補強材(テールアルメ)は、腐食防止(pHや比抵抗、塩化物イオン)および摩擦力確保のため、細粒分含有率が低い高価な「購入良質砂質土」を必要とすることが多い。
当工法の優位性: グリッドの骨部(リブ)と横バーが土粒子を拘束する「インターロッキング効果」を発揮するため、粒径の粗い砕石土から現地発生粘性土・山砂まで幅広く対応可能です。購入土費用の削減および残土搬出処分費の大幅カットに直結します。
従来工法の課題: 鋼材補強材は、海岸沿いの塩害地域、火山性酸性土壌、または産業残土や廃棄物最終処分場周辺では、防食被覆の劣化や電蝕リスクが懸念されます。
当工法の優位性: 化学的に極めて不活性な高密度ポリエチレン(HDPE)を採用しているため、酸・アルカリ・塩害・微生物分解の影響を一切受けません。75年〜100年を超える設計供用期間において、材料腐食による耐力低下リスクを排除できます。
織布・溶着型ジオテキスタイルとの違い: 繊維を編み込んだ製品や熱溶着・接着タイプの格子材は、施工時の礫(小石)噛み込みや偏荷重により「交点(ジャンクション)の剥離」が懸念される場合があります。
当工法の優位性: 厚手のシートを打ち抜いて加熱延伸した完全モノリシック(一体成形)構造であるため、交点の剥離が原理的に発生しません。施工時損傷(Installation Damage)に対して抜群のタフネスを誇ります。